香川県の東端に位置する東かがわ市は、おおよそ130年という長い年月のなかで、時代によって変わるニーズに応えてきた手袋のまち。現在では、商品の多様さ、品質の高さなどから、国内はもちろんのこと、世界でも屈指の手袋総合産地として知られるように。そんな東かがわの歴史と今。ほんの少しだけお伝えします。
東かがわを中心とするこの一帯は、現在、日本唯一の手袋産地であり、日本国内で生産される手袋のうち、約90%以上の生産量を維持し続けています。手袋産地として長く発展している裏側にあるのは、創成期から変わらない「チャレンジ精神」。時代のニーズに適応しながら新しい分野に挑戦していく姿勢こそが、変わりゆく時代のなかで常にシェアNo.1を誇る理由です。
手袋産地としての歴史のはじまりは、明治時代。大阪でメリヤス手袋製造を家業とした両児舜礼師と、その遺業を継ぎ、故郷である松原村の教蓮寺境内に手袋製造所「積善商会」を開設した棚次辰吉翁の両名によって、香川・東讃地区での手袋製造は、スタートしました。
着実に地域に定着していった手袋製造業は、大正3年に勃発した第一次世界大戦をきっかけに産業としての基盤を確立。その後、太平洋戦争の終結により復興を目指した手袋産業は、香川県を代表する産業に成長してきました。その後、昭和30年代の神武景気、岩戸景気と大型消費ブームにのって世界一の手袋産地に。昭和50年代からは海外へと生産工場を移すなど、規模を拡大していきました。